「中国人に絶対負けない交渉術・私流」(2)
前回の日本人論はすべて読んでいるわけでもないが、日本人への全体的なイメージを列挙しておくと、
1.超越的な存在を意識するより、一個人の独立精神を構築するより、現世にある周りの人間や集団を強く意識する。
2.外へ出てチャレンジするより、所属社会や集団にいて、周りと同じ行動を取るのが安心で、自己責任も逃れるから、甘えがちな性格がある。異なった環境で異文化を楽しむより、自分と違うものを排除しがちで、外国人や外国語だけに対して恐怖心を持っていて、違う人との付き合いをなるべく避けようとする。
3.創造性に欠けているが、他文化を積極的に吸収し、自分の都合で改造するのが得意。外国の文化を積極的に取り入れようとするが、外国人や外資を日本社会に受け入れるハードな面もソフトな面はまだ足りなくて、外へ自分の文化や考え方を発信する意思と力が弱い。
チームワーク力が強いが、自己主張、決断力が弱い。
4.一般的に、上下関係、年功序列、家庭や職場での男女不平等や滅私奉公などは古くからあって、まだ維持されている。
5.常に変化している自然に恵まれて、高い感受性を持っているが、論理力が弱い。
6.細かいところまで追究し、コツコツと改善していくのが得意だけど、社会や外の世界の変化への注目、及びその対応に要求される柔軟性に欠けている。
今回は、まず取り上げたいのが、外国語(英語を中心にする)の問題だ。
日本に来て、よく初対面の人に聞かれるのが、「日本に長いですか」と。なんで「日本語を勉強して長いですか」ではなかったことに興味がある。実際、自分の日本語は、90%は中国で勉強した成果で、10%は流行語や表現の豊富さ、イントネーションのなめらかさなどが日本に来て上達したと思う。中国で最初勉強したとき、直されていなかったか、直せなかった発音や覚え間違えたアクセントは、日本で生活することによって、すぐ直ることでもない。
外国人から教わるのは、発音が自然になる。その国に行くことによって、言葉の裏にある文化や考え方をもっとわかること。外国人から教わっていなくても、その外国語を母語とする国に行ったこともなくても、ちゃんと学校の授業を受けて、或いは独学して、若干なまっていても、普通に話せる。日本に1ヶ月行っていて、日本語を何もしゃべれずに中国に帰ってくるのは、むしろ恥ずかしいことである。話せるのが当然だと思われる。海外経験がある日本人は、ずっと日本にいる日本人の前で、英語をすごく自慢して披露するのは、滑稽に見えるしかない。
日本に関する中国のネットやブログには、基本的にこういう話が掲載されている。「日本で日本語が上手だねとほめられるのが全然たいしたことではない」。なぜかというと、お世辞の可能性が高いこと以外に、日本人の外国語マスターのロジックは特別だからという意味合いがこめられている。また、中国人を見くびる日本人は多々いるから、中国人は、たまに、わざと英語を話していて、日本人の態度を試す。予想どおり、がらっと変わってくる。これも、中国人同士では、よくネタにする話。日本人に差別された中国人は、日本人のそういうコンプレックスを嘲笑う簡単なストレス解消法でもある。
とはいっても、中国に行っても、英語が通じない人やエリアは、まだ全体の大半を占めているのも事実。それは単純に中国の英語教育が遅かったから。例えば自分の両親の世代は、文化大革命のせいで、中学校や高校は、授業より労働で、大学すら行けなかった。大学入試制度がやっと復活したのが、1977年だった。その世代はちょっと外国語の教育を受けたといっても、ロシア語か、日本語(東北出身)。
小学校から英語教育を取り入れたのも、20年前ぐらい大都市からなのだ。私は、田舎育ちだから、中学校1年から勉強し始めたのである。また、家計の問題で、中学校3年ちょっと英語を勉強して、すぐ就職しないといけない同級生も多くいた。今日では、都市でも中小都市でも普通幼稚園から英語教育が始まっている。なので、英語の普及率はどんどん高まっていくと思う。
こういう実情に対して、明治維新から、諸外国との交渉があんなに盛んになって、西洋の文化や教育システムを取り入れてきた日本では、なぜか未だに英語が話せないか、外国語で自分の考え方を発信しようと努める意思が弱いか、不思議に思う。また、江戸時代まで、日本の知識人は、基本的に漢文が読めて、書けるのに、今でも、高校の漢文訓読をちゃんと勉強して、語彙の量を増やせば、現代中国語の意味を普通に読み取れるのに、中国語に疎くなったことももったいない気がする。
今の中国の若者の中でも、日本人は英語が話せないのが常識で、話せる人とたまに出会えたら、「お、珍しいね」と。また、こちらで英語で話しても、メールを書いても、日本人はちゃんと理解してくれるか、のような疑問を中国側は抱いていると思う。前に務めていた会社の中国側の若いマネージャーは、「英語が話せない日本人は基本的に頑固で閉鎖的な人だね」ときっぱり言っていた覚えがある。極端にいうと、日本人は英語が上手に話せるだけで、中国人に認められるかもしれない(うちのDarlingの場合も英語で好感ポイントを結構稼いでいる)。なぜかというと、一つの言語をあるレベルに達しているというのは、その言語に込められている自国文化と違って、もう一つの文化をある程度理解しているし、異文化を受け入れられる柔軟性を持っていると思う。つまり、外国語を一つマスターすることによって、新しい発想が一つ増える。頭のキャパシティも倍増するでしょう。
ついでに言っておきたいが、中国人は基本的に英語を話すのが抵抗ないと思う。効率的に、もちろん母語のほうが高いけど、必要なら、全然英語で話し、書く。個人的には、大学から英語をサボってきたせいか、日本語ほど話せないが、英語を話しているほうが、気持ちを思い切って表に出せて、エンジョイできる。
よって、今の中国の20代、30代(今後中国の中堅層)は、海外経験がなくても、英語を普通に話せるし、日本語を勉強している人は、基本的に日本人が中国語を勉強するスピードより早いし、日本人は少なくとも対等に会話できなければ、交渉するとき、アウトでしょう。
カタカナの問題とか、恥ずかしいとか、を言い訳にしてすむことではない。海外に行かなくても、スクールに通わなくても、英語を上達したければ、いくらでも方法はあると思う。実際、英語をうまく話せている日本人も増えている。
外資や外国人を日本に受け入れるであろうと、日本人が海外へ出るであろうと、英語の問題は、一つの壁になっているのは、日本人の皆さんも既にご存知だと思います。英語(外国語)へのコンプレックスを捨てて、言語スキルを上げるのは、どこの国の人と交渉するのに役立つことでしょう。
